アカネのミッドナイト・リリックス #3 [前編]

おやすみ前のチルタイム。
アメリカ音楽を研究していた編集Yが、
メロウな洋楽と、ちょっとためになる英語表現をご紹介。




“show me love like… ”
Show Me Love (feat. Miguel) – Alicia Keys (2019)

今回のフレーズは、00年代初頭から現在に至るまで
R&Bシーンの知性として絶対的な存在感を放ち続ける、
Alicia Keys (アリシア・キーズ)の2019年の楽曲から。
2020年発売のアルバム ALICIA にも収録。



歌詞全文はこちら

今回のフレーズ “show me love like… ” ですが、
直訳すると「~のように愛を見せて」です。

「~のような/~のように」と、
例示比喩の意味で使われる “like” 
曲中に出てくるのは、全部で16回。

最初のサビ後、Aメロ部分を見てみましょう。
ここで出てくる “like” が示すものは以下のとおり。

・赤信号を見るように
・ヘッドライトの中にいる鹿=立ちすくむように
・情熱的だったように
・チャンピオンのように
・試したり拒んだりしたように
・あなたにネクタイをつけさせたように

動作主や “like” が修飾する語句はバラバラですが、
こうして何回も “like” を使うことで表したいのは、
「さまざまな愛のかたち」であると解釈できます。


実はこのことは、ミュージックビデオでも
表現されていることに気付いたでしょうか?
3つの場面で構成されるミュージックビデオでは、それぞれ

・自己愛
・パートナー間の愛
・創造/芸術への愛

がテーマとなっているようです。


ではもう一つ、別の角度からも検証してみましょう。

この楽曲の発表に際して行われたインタビューによると
Alicia は、さまざまな状況によってペルソナを付け替えることにうんざり
( “the tiresome cycle” という表現が使われています)していた模様。

また、
「本当の姿はどれか、ということに対する恐怖」
も感じていたと吐露していることから、
「ありのままの姿でいたい」「取り繕ったりしたくない」
というような願望を持っていたと考えられます。


ところで、
「アリシア」「ありのまま」「取り繕う」
のワードでピンとくるものがあります。
それは、今もなお数々のアーティストによってカバーされている
彼女の名曲、 “If I Ain’t Got You” 

次回はここから、
“show me love” が表す意味について深掘りしてみたいと思います。



後編はこちら

文/編集Y

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