アカネのミッドナイト・リリックス #2 [後編]

おやすみ前のチルタイム。
アメリカ音楽を研究していた編集Yが、
メロウな洋楽と、ちょっとためになる英語表現をご紹介。




前編はこちら

今回のフレーズ:
“You make me wanna come through quarter after two”
Come Thru – Summer Walker & Usher (2019)



この楽曲 “Come Thru”、実は1997年にUsherがリリースした
“You Make Me Wanna…” のアナザーストーリー的楽曲なのです。
(ファンにとっての胸アツポイントはここ!)



97年の “You Make Me Wanna…” では、
ステディーな人がいるにも関わらず、
新たな女性の登場ないし誘惑にグラつく男性の葛藤(言い訳にも聞こえる節もありますが)を、
Usherは見事に歌い上げていました。
危ない三角関係の始まりの歌、とでもいえるでしょうか。

今回の Summer Walker (サマーウォーカー) との
フィーチャリング曲 “Come Thru” では、
なんとUsherを誘惑していたあの女性が登場します。
言わずもがな、それが Summer Walker なわけですが、
どうやらUsher の片思いではなく
2人は互いに、強烈に惹かれ合っているらしいことが、
20年越しに明らかになります。

歌詞全文はこちら

そんな、
禁断の恋愛に没入せんとする2人の様子を表したのが、
今回のフレーズ

“You make me wanna come through quarter after two”
「2時15分、あなたは私に切り抜けたくさせる」

なのです。


ところで、何を切り抜けるのでしょうか。
“come through” の辞書的な意味は、
「やり通す/切り抜ける/持ちこたえる/成功する」です。

曲中の2人の関係性を鑑みると、

「あなたと一緒にいられる深夜2時15分、
何にも妨げられることなく、
このまま切り抜けられたら(関係を保てたら)いいのに」

という含意を読み取ることができます。
あるいは、もっと物理的な意味かもしれません。
とにかく、「2人の逢瀬を邪魔されたくない」という
秘密のランデブー感が伝われば、と思います。
(come through は大変語義の広いイディオムで、絶対にこの意味!という訳はあてられないので、あくまでも、いち個人の解釈という風に捉えていただければ。)


さて、先ほど「~たらいいのに」と述べましたが、
このような願望を、最もストレートに表すなら、
wish と仮定法を使って

“I wish I could come through”

のような表現でもよいはずです。
しかし、ここではあえて使役を使っています。
今回のポイントはここ!

使役の make を使うと
「不可抗力」感が出せる!


そうなんです。
今回のフレーズ、主語が “you” ですよね。

「あなたが切り抜けたくさせる」。

使役の make を使うと、自ずと
「あなたのせいで」感「私は悪くないわ」感
つまり「不可抗力」感を出すことができるのです。

もちろん、不満を露わにしているわけではなく、
そんなあなたと私に酔いしれているのです。あちー。


ラブソング、特にこのような危険な恋愛を歌ったものには
“you make me” 構文が頻出するので、
「不可抗力」感の使役表現、ぜひ覚えておいてください!



文/編集Y

〈参考〉
https://genius.com/Summer-walker-and-usher-come-thru-lyrics
https://genius.com/Usher-you-make-me-wanna-lyrics
https://www.billboard.com/articles/news/lyrics/8533273/summer-walker-usher-come-thru-lyrics

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