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概要

S1507

モダン+伝統美平成知新館をすみずみまで見ておきたい京都国立博物館と言えば、行われる特別展は常に人気が高く、本館の美しいレトロ建築にもファンが多い。さらに昨秋、長らく工事中だった平常展示館がお目見えし、その注目度は増すばかり。人を引きつけてやまないその理由を改めておさらいしてみたい。エントランスを入ってすぐの左側(西)には、長大なアトリウム空間が。その巨大さと開放感には驚くばかり。ガラス壁越しに、明治古都館や庭園、京都タワーなどの眺望も楽しめる。展示を見終えたあとの余韻をベンチで味わって。ミニマルなモダン建築の平成知新館だけれど、細部を見ると日本建築の伝統を巧みに取り入れていることがわかる。大きな庇(ひさし)、柱と梁の軸組、水平にのびるたたずまい、薄明かりによる採光、非対称的な構成に注目を。建物の南面は水盤で、穏やかな水面が心を和ませてくれる。大きな庇(ひさし)を支える柱や庭園の緑、空の青が映る情景は実にお見事。また、水盤の南側に積まれた石は、かつてこの地に存在した方広寺の石垣があった場所を示すもの。展示空間と一体的に設計された展示ケース。大型の超透過ガラスを採用し、最新の接着技術により金属パーツを最小限にとどめるなど、観客が作品鑑賞に集中するための配慮が行き届いている。照明は最新のLEDを採用。展示室の間仕切りの一部に、ステンレス製の御簾を用いているのも平成知新館の特徴。京都らしい雅な空間演出であるのと同時に、向こう側の情景が透けて見えることにより、空間の広がりを強調する効果も。展示室中央部には巨大な吹き抜け空間が設けられており、大きな仏像も悠々展示できる。この空間のおかげで、展示室は息苦しさはまったくなし。高所から見下ろす角度で作品を鑑賞できるのも、平成知新館ならでは。京都国立博物館といえば、明治時代に建てられたレンガ造りの建物(明治古都館)が有名。しかし今、それ以上に話題なのが、昨年秋にオープンした平常展示館=平成知新館。ニューヨークのMoMA新館などで知られる谷口吉生が設計した建物は、直線を基調としたミニマルな外観の中にも日本建築の伝統が隅々に息づいている。また、この京都・東山の景観や歴史とも深くリンクしており、実に味わい深い建築なのです。出入口から真正面を向くと、博物館の南門越しに蓮華王院(三十三間堂)の南大門が。歴史を踏まえ、南北の軸線を重視した配置の妙を楽しんで。“平成の南北軸”に要注目入口付近に配された二重丸のサイン。桃山時代に豊臣秀吉が建てた方広寺の南門や回廊の柱跡を示しており、地域の歴史性を強調。この丸い印の意味は…グランドロビーなどの壁面に用いられている石材「ジュラ・イエロー」。ジュラ紀の地層から産出され、貝類の化石が含まれることも。壁に使われている素材は…前面には気持ちの良い水盤吹き抜け構造で見る角度が新鮮細部に宿る日本的空間構成パーテーションは御簾仕立て開放的なアトリウム展示ケースにもこだわりが関西“ 最注目”ミュージアム京都国立博物館に行くべき つの理由JR京都駅から   で約15分京阪七条駅から徒歩5分美術にも建築にも興味のある人に昨秋オープンの新平常展示館平成知新館がかっこいいから!理由これも見ておいて! 平成知新館の秘密Photo/Kiyoshi Nishioka Text/Takafumi KobukiIllustration/Yosuke Yamauchi16