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概要

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42ダイナミックな石組+貴族好みの美。 鎌倉後期から南北朝時代の禅宗・臨済宗の僧だった疎石は、「自然にこそ目指すものがある」と禅の修行と作庭を同一レベルに置いた。山水画の手法である、風景を画面の一角に寄せて描き、余白を多く残すというスタイルを作庭に取り入れて、室町時代以降の枯山水の成立に大きな影響を及ぼした人物。彼がいなければ、枯山水は生まれていなかったかも。 疎石以前の庭園は、石組も少なく、なだらかな海岸風景を模したような水平的なものだった。しかし、彼は石組みメインのダイナミックな空間構成によって、庭園の意匠・手法に新機軸を開いた 〝空間革命家?といえる。手がけた庭園はほかに、瑞泉寺庭園、永保寺庭園、恵林寺庭園など。●京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町68 2075-881-1235 8:30~17:30(10/21~3/20は~17:00) 行事により参拝休止日あり庭園参拝料500円(諸堂参拝は+300円) 見どころは、方丈前の曹源池を中心に、遠景の嵐山と近景の亀山とも一体になった壮大な空間構成。曹源池と龍門瀑、その前方に架かる三連の石橋と、前面の池中立石という一帯のデザインは傑作だ。龍門瀑とは、中国の黄河中流の急流「龍門」を越えられた鯉は龍になるとの言い伝えを、滝石組で表現したもの。離宮跡の庭園をベースに作られたことから、禅の庭特有の簡潔さや厳しさだけでなく、なにかしら貴族的な大らかさや雅な美しさも感じられる。天龍寺庭園[嵐山] map P8 A-5夢む窓そう疎そ石せき(1275?1351)作庭家が明らかになっている庭の数は、全国でじつはそれほど多くない。だが、京都には巨匠の庭が比較的多く残り、生きた文化財として大切に受け継がれてきた。そんな見事な庭園を、作庭家たちの庭づくりの特徴を意識しながら見てみよう。作庭家で見る庭。文/町田 香●京都市西京区松尾神ケ谷町56 2075-391-3631冥加料3,000円(完全予約拝観、拝観は往復ハガキで希望日の7日前までに必着) 苔寺と呼ばれるが、もともと苔はなく、江戸時代頃から今の姿になったという。夢窓疎石による庭園は上下で区別でき、上部庭園は禅的な厳しさをもつ洪隠山(こういんざん)石組を中心とした枯山水で、下部庭園は西芳寺以前の[西方寺]時代の優美な浄土庭園を引き継ぐ。異なる趣の庭園が統一されているところが秀逸。西さいほうじ芳寺庭園[ 松尾] map P2夢のような緑色の世界。