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概要

kansai_kenchikuka

51すごく考えさせられました。確か本物とは「素材そのものの良さが現れているもの」といった内容だったように思います。木原 どんな素材を使うにしても、まず建築家が材料を見立てて、それを使いこなす技量を持っていること。そうすることで空間に精神性が生まれて、素材も空間も本物になっていくんじゃないですか。倉方 なるほど。建築の素材というのは最初からカタログのように限定されているのではない。建築家が見立て、手を加えることで建築の素材になるのだと。竹原 本物の素材は手を加えることができるんです。反対に、たとえば工業製品だと手を加えるとその物が消えてしまうので、そのまま使うことになる。その偽物の良さもあるんだけど、その違いが理解されているかどうか。吉村 僕は、建築の素材としてはコンクリートもいい材料と思ってます。構造体でもあり、打ち放しで表面をそのまま見せることで、素材のよさも生きてくる。だから、タイルも貼りたくないし吹きつけもしたくないんです。内と外、図と地の両方を設計すること竹原 「内と外」のことでいえば、関西って〝かぶりつき住宅?が多いんですね。つまり、道路から家がかぶりついていて、ドアを1枚開けたらすぐ外という家。ただ、本来、建築家というのは家の外側も含めて考えていて、外があることで建築が豊かなものになるんです。たとえば庭や、あるいは路地を外との区切りとして考えることで、内と外の関係が伸びたり縮んだりしますよね。倉方 確かに、敷地を活かしきることは、余地なく建物を建てることとは違いますよね。建物から、庭、路地、街へとグラデーションのようにつながっていく方が充実して暮らせそうです。竹原 家と家の間を洗濯ロープが渡って、道路の上に洗濯物を干している景色がイタリアで見られたりしますけど、内と外の捉え方の文化的な違いは、そんなところにも表れますね。木原 大気汚染のこともあるから、室内干しということが言われるようになり、国の方針としても、住宅の気密性を高める方向で進んで