ブックタイトルM_sushi

概要

M_sushi

30　新しい天体の発見、そのもの。それくらい、鮨の可能性に無限の伸びしろがあると実感させてくれる新境地だ！　にぎりが口に到達するまでの緻密な逆算が行われているのは、西天満の＂最重要ラボ＂［鮨 美菜月］。ダシじょう油でヅケにした甘エビを温かいシャリと合わせることで、温度コントラストにより、ひと口目からのインパクトを格段に増幅させる銘品あり。また、イカの両面にミリ単位の精緻な包丁仕事を施して食べた時の甘みを「５回噛めば、50回噛んだ時の味になる」狙いを見事に実現した快作あり。主人・崎貴之さんの発想力は、鮨職人版・岡本太郎!?ましてや「絵は分からない」ことがあるとしても、崎作品は食べた瞬間に誰もが理解できるという点でも、偉大かも。　一方、店名に堂々ラボと掲げる気鋭割烹鮨店も阿倍野で奮闘中。この［まんまＬＡＢＯ］、「握り一つひとつを際立たせるあしらいは名脇役」が信条。例えば鯛にはナルトを模して巻いた鯛皮を乗せ、イクラにはアイスプラントで爽やかなミネラル感と塩味を添えるなどひと手間が鋭く光る。　日々刻々と生まれる楽しき鮨の大発見。カウンターにて目撃するしかない。　おまかせのみ11,000円～。2010年の開店以来、独自の作品性はますます発展中。数寄屋風情の空間も別格。完全予約制。●大阪市北区西天満2-10-9　206-6312-0888　17:00～22:00最終入店　日・祝休　カウンター6席、座敷1室（～4名）　カード可お初天神東梅田駅地下鉄谷町線JR東西線御堂筋地下鉄御堂筋線鮨 美菜月［大阪・西天満］新しい世界を開く。金字塔的にぎり。◎巻き寿司も攻めてます。右上／イカは、裏表両面を緻密なジャパラ切りにし、甘みがジャンプアップ。左上／細かなウロコを丁寧にとった稚鮎。鮎の心地よいほろ苦さが感動的。右下／甘エビの柚子出汁ヅケ。コースでは、この甘エビが出るタイミングでシャリを熱々のものに変える。左下／干しワカメ〆で、白魚の旨みが見事に引き締まる。フキノトウ入り・苦い干瓢、玉子かけご飯の細巻き（！）など。コース終了後の追加注文などで登場。次から次へと…アイデアは尽きません取材・文／寺下光彦　撮影／内藤貞保イラスト・題字／辻井タカヒロあのラボでまたも世紀の新発見か。30