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概要

art_design_kyoto_2015

やるようなことを凝縮してやってきたので、もうそろそろ隠居して、誰かに任せようかな(笑)。そんなこともあって、14年度は明和電機の土佐信道さんとプロジェクトを行って、「ウルトラ」を明和電機が乗っ取るという仕掛けにしました。そして、増田セバスチャンさん。まだ始まったところですが、これまでの誰よりも強敵なんじゃないかと思っています。増田 敵なんだ(笑)。ヤノベ いやいや(笑)、これまでもエネルギーのぶつかり合いから新たなものをつくりあげてきたので、ポジティブな衝突、仮想敵ということです。増田 僕にとっては、現代美術の世界に関わりはじめた20歳の頃には、すでにヤノベさんはデビューされていたので、雲の上の人です。そんなヤノベさんから誘っていただいて、しかも京都の大学でやれるというのですごくわくわくしています。――ヤノベさんと増田さん、思いがけない顔合わせのようにも感じますが、どういった接点なんでしょう。ヤノベ 出会いは、2020年の東京五輪に向けた文化プログラムの検討委員会で、恥ずかしながらあまり増田さんのことを知らなかったんですけど、話をするとこの人は本物だというのがわかってきた。いまはkawaii カルチャーのカリスマですけど、90年代はわりと同じような環境にいて、自分の美意識にこだわりを持ってずっとやってきた方だったんですね。増田 僕は、原宿を拠点に活動してきましたけど、そこで培ってきた力を試そうと思って、2010年から外の世界に出てやりはじめたんですね。そんな中、2014年はニューヨークで個展を開いて、アーティストデビューをしました。実は、日本でアーティストとして活動するのは、あと3年くらい先だと思ってたんですけど、そこにヤノベさんが彗星のごとく現れた(笑)。――「ウルトラ」でのプロジェクトは、ただ2人が組み合うだけではなく、学生がその場にいることが大きな特徴ですね。ヤノベ その部分でも増田さんには感心しました。僕は、徒弟制で一方的に教え込んだり、ある種の厳しい状況をくぐり抜けさせるようなマッチョなやり方なんですけど、増田さんは学生の特性を見抜いて、モチベーションを高めるのがうまい。昨日会ったばかりの1年生にもう自分の作品の一部を預けてますから、なかなか僕にはできない。増田 学生とものづくりをするというのはいつもやってることなんです。それに、自分がつくるものって脳みその中ですぐにできちゃうので、あまりもう興味がないんですね。今、クリエイティビティにおいて僕が何を目指しているかというと、小学生の自分に戻ること。小学生の頃が一番の天才時代でしたから。ヤノベ おおっ、そうですか。増田 発想も豊かだったし。何にも捕らわれないで、すべてをクリエイティブに費やせましたから。そう思うと、学生の中にはごろっとした何かがまだ残っていますし、特に18歳から20歳にかけての女の子って、少女から大人になる成長過程、その一瞬のキラメキのようなエネルギーがものすごくあるんですね。ヤノベ 学生が花開く現場に立ち会えるのはすばらしいと思ってきましたけど、女の子のキラメキという意識はなかったですね。やっぱり、明らかに僕と違うところがあるので、これはだいぶ盗めそうですね(笑)。―― アーティスト同士のぶつかり合いに、学生も加わって、それが社会へと投げ出される。まさに「ウルトラ」なファクトリーです。ヤノベ 現代美術の状況もどんどん変化していて、アートのコンテキストやヒストリーだけでは成立しないところもある。だからこそ、増田さんがおられるような広い世界へ、僕が引き寄せられているのかもしれない。増田 世界的にも、アートはいかにストリートとリンクできるかという流れがきていますので、ちょうどそういう時期かもしれません。ヤノベさんとのお付き合いは、これから長くなりそうな気がしています。ヤノベ まずは、ウルトラセバスチャンブランドでプロダクトを作って、大儲けしたいね(笑)。ULTRA FACTORYヤノベケンジのほかにも、やなぎみわ、名和晃平、髙橋匡太、宮永愛子といったアーティスト、西陣織の細尾などによるプロジェクトが同時に進行。学生にのみ開かれた場ではあるが、ここから生まれた作品や展覧会を見る機会は少なくない。これまでヤノベケンジは、ビートたけしや吉本新喜劇、明和電機とのコラボプロジェクトをここで実現。EXHIBITIONヤノベケンジ×増田セバスチャン×髙橋匡太『PANTHEON 神々の饗宴』琳派400年を記念して、琳派の俵屋宗達『風神雷神図』を象徴として、巨大な3体の彫刻作品が演出される。ヤノベの造形、増田の色彩、髙橋の光によるコラボレーション。2015年7月25日(土)?10月25日(日) ●京都府立植物園 観覧温室前「鏡池」 入園料=一般200円 2075-701-0141(京都府立植物園)