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概要

temiyage_kansai_2014

61 Yo d o y a b a s h i淀屋橋 二寸六分の檜の木枠の中で織りなす懐石料理ともいわれる。重石の代わりに両手でグイと押し「漬ける」のが大阪箱寿司。米は古米のみを使い、日本晴れ??野 の箱寿司と鯛のお出し取材・文/曽束政昭写真/内藤貞保とヒノヒカリの硬軟織り交ぜ。昆布で炊いた寿司めしは、そのまま見れば粒の立った艶と適度な粘りがあり、圧縮された米は、包丁の入り方がなめらかになる。両刃の船底のような形状の大きな包丁で、ススッと重さにまかせるようにカットしていく。上に乗る具は8種類。朝開きたての穴子を朝イチで串打ち。「まだ身が活かってて」と7代目・橋本卓児さん。客席の上階にある厨房では、フワフワの玉子焼きが焼かれていた。この厚焼き玉子には、鯛のすり身も入っている。焼きたてを特別にひと口つまませてもらったら、唾液倍増、いやはや天然の旨みというのは染みるほど旨いもので、不思議なことに酢飯もお酒も合いそうな感じ。いずれも見た目はシンプルながら、いい食材も技術も込められた具が、彩りよく並ぶ。他の具はエビ、キクラゲ。活け小鯛も塩、酢でひと晩寝かせ、じっくりと味を入れる。鯛は昆布締めに。できうる限り昔の製法に近づけようと、調味料まで天然ものにこだわり、目で舌で楽しめるひと箱となる。 そしてもうひとつ、先代までになかったものが「鯛の出し」。取材時にはまだパッケージなどは試作段階だったが、その美味よしのすし●大阪市中央区淡路町3-4-14 206-6231-7181 10:00AM~6:30PM(持ち帰り)土・日・祝休クレジットカード:可取り寄せ:可他に買える所:阪神梅田本店、大阪髙島屋、あべのハルカス近鉄本店総天然食の大阪もんしさにはビックリ。鯛の仕込みの際に出る骨アラと、?こんぶ 土居?(P69)の真昆布でダシを取る。もちろん手間暇をかけて。アラのすべてを霜降りにして血合いを掃除し、水、酒、昆布で炊く。アクを取り、弱火で2時間コトコト。薄口醤油にみりんで味付け。パックに詰めて食事された方に小売りされている。これほど鯛と昆布のダシが利いたものは他にない。お値段を聞いてまたびっくりの、324円。「やっぱりちょっと安うしすぎましたかね」と7代目。 試行錯誤を繰り返しながらも、とにかく真っ直ぐにつき進んでいく。どうか代々美味しい大阪寿司を伝えていただきたい。それだけはひとつ、強めに押させてもらいます。