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概要

kyoto_kottou

9 雑居ビルの一室にある?Lラガードagado研究所?。扉の内側は、天体模型や地球儀、隕石、サビにまみれたジャンクや、機械部品のカケラ、古代文明の遺物などが詰まった、理科少年の夢の城だ。この日、〝所長?の淡嶋健仁さんが「オークションで落としたときは、うれしかったですねえ」と見せてくれたのは、1960年代頃の素人の天文ファンによる手描きのスクラップ帳。収められている月の図は、現代の天文学から見ればちょっと不正確なのだが、月への憧れなくしては描けない味わいがある。「天文学は、信じられていた説が次々に役に立たなくなる世界。昔の天文資料はいま見たら古びていますが、当時の輝かしい最新理論とそれを支持した学者さんたちの興奮を想像しながら眺めると面白い」。 淡嶋さんが〝研究?する天文は、学問と妄想の間にあるイマジネーションの世界。そこでは「古いものと天文」とが、蝙こうもりがさ蝠傘とミシンのように不思議に出会う。淡嶋さんの古いものの楽しみ方のひとつが、「天文見立て」。古い皿に浮かび上がったシミをクレーターに見立て、朽ちた木の民具の無数の虫食い穴をつないで未知の星座を描く。この楽しみ方は決して邪道ではない。そもそも、古いものを愛でる骨董の世界も、古美術を研究対象とする考古学や美学という学問とは違う次元で、勝手に趣味の宇宙に遊んできたのだ。右/電圧機のオブジェ(4,500円)、奥能登の白樺浮き(2,800円)、アメリカの天体観測器(15,000円)。左上/方位磁針(18,000円)、紙の日時計(8,800円)。左下/コーヒー(500円)を飲んで寛げる、カフェコーナー。黒板には、近所の京都大学に勤める天文学の研究者が書いた数式が。プロの天文学者が「理論だけの勉強から解放されて、ここでは天文へのアイデアが生まれる」と信頼を寄せる、もうひとつの研究所だ。Lagado研究所[ 百万遍] map P86京都市左京区北白川久保田町60-11宮城ビル2.5F 2なし12:00~19:00※金・土・日曜のみ営業カード可http://lagado.jp