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概要

shiga_bon2014

 古くから観音信仰が篤く、十一面観音像をはじめ、仏像が多く伝わる〝観音の里?。祀られているのは、向源寺を除いて無住の寺院がほとんど。集落の人たちが交替でお世話していて、世話方さんと呼ばれる当番の方に事前に連絡し、ご開帳してもらうというお堂も多い。 今回、観音の里を案内してくれた大津市歴史博物館の横谷賢一郎さんは、仏像の衣などの表現がリアリズム調か様式的か、彫りの深さ、顔立ちなどから制作年代がわかると解説してくれた。「個人的に好きな仏像は、美しさでは向源寺。黒田観音寺の力強さ、赤後寺のリアルさもいい。仏像以外なら、赤後寺の厨子が好きですね」。ただ、一番印象深いのは、「古代・中世の山岳寺院の仏像が、里で大切集落で守られてきた、親しみ深い観音さま。向こうげんじ源寺(渡どうがんじ岸寺観音堂)[高月] map P16 D-6●長浜市高月町渡岸寺50 20749-85-2632(渡岸寺観音堂国宝維持保存協賛会) 9:00~16:00 無休 仏像拝観料300円 P50台向源寺(渡岸寺観音堂)の十一面観音 豊かな体つきで、軽くひねった腰はキュッとくびれている。眉から鼻にかけての秀麗な曲線、耳?(じとう)と呼ばれる耳飾りもオシャレな、像高196cm、40kgのスタイル抜群の観音さま。ヒノキの一木造り。全国で7体ある国宝の十一面観音像の中でもっとも美しく、官能的とも。頭上に10面ある大きな化仏のバランスも見事。天平時代、泰澄作と伝わる。うっとりする、完璧なプロポーション!「背後からも真横からも、360度、そのお姿を拝めるのが貴重」と横谷さん。後頭部にある、歯をむき出しにしたお顔は暴悪大笑面。煩悩だらけの人間を笑い飛ばし、怒って正しい道へ導こうとする存在。奥びわこと呼ばれる高月から木之本あたりには、とくに観音像が多く、「観音の里」と呼ばれている。国宝の観音像から始まる、巡拝の旅へいざ!取材・文/後藤有佳子 写真/バンリ 写真提供/向源寺 奥びわ湖観光協会(黒田観音寺)観音さまをめぐる湖北・観音の里ツアー。●案内する人 横谷賢一郎さん大津市歴史博物館の学芸員。専門は近世・近代日本絵画。道中に出合う昭和期の橋を夢中で写真におさめる、橋マニアでもある。後ろから拝むと…