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概要

M1602

6 江戸時代、堂島の米市場、小魚を商う西区の雑喉場と共に上方三市のひとつと謳われた天満市場は青菜の市場。野菜を売りに来た北摂や難波の農家が、日用品を買って帰るから商店街が栄えた、という話も聞く。「天下の台所」のシンボルは、大川に面して水運の便良く、昭和に入ってますます発展する。この町はまず天満市場ありきなのだ。 昭和20年の大阪大空襲で焼失するも、24年には天満卸売市場として元東洋紡績工場跡に移転し、小売りも始めた。2000年頃は、プロ御用達独特の厳しい空気と、大阪のオバチャンの遠慮のなさ、闇市チックなバラック風味が攪拌されて、たまらん妖しい気を発していたものだ。 2005年、老朽化により建て替えた複合商業施設?ぷららてんま?として大部分が生まれ変わった。ひと世代前からの活きの良い市場風景に、保育園施設や健康フェアなどの光景が入り混じる。今や物を買うだけには留まらない、ゆるゆるとしたコミュニティーになっているのだ。「ばらばらの物がひとつ所に集まる」という意味だが、これほど天満にぴったりの言葉があるだろうか? 江戸時代から人も食も集まり続けた街で、その匂いが残る風景を追った。場所と形を変えながら平成に至った〝天下の台所?。百川帰海百取材・文/団田芳子 写真/本野克佳ぷららてんま[池田町]map P10 D-2 →P42