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概要

kankohoteltabi

光地では静かな気配が際立つように。 そんな中、創業から半世紀以上、その町で旅する人を迎え続ける観光ホテルがある。高度成長期以降の昭和50年代に生まれ、バブル期はまだ好きに旅などできない学生だった私は、戦前から続いていたり戦後すぐにできた宿の、建築や歴史や娯楽施設やサービスを新鮮に感じた。 最初は、建物の写真を撮りたいとか、ショーを見てみたいとか、その町とホテルの歴史的な関わりを知りたいと思い泊まるようになったが、大型観光ホテルでは、しっぽりと過ごすよりも気の置けない仲間と賑やかに過ごすほど強く記憶に残り、行き先を決めて参加者を募るようになった。 それまでの自分は、学生の頃から団体行動と縁のない道を歩んできたせいか、観光地などで大勢の客を見かけると、なんとなし億劫に思う節があった。旅は一人や二人が楽でいいと決めつけていたのだ。 もちろん一人旅や二人旅のよさはあって、変わらず楽しみに続けている。けれどもそれと同じように、家族や大勢で分かつ旅の味わいがあると、歳を重ねて気が付けた。大型観光ホテルに泊まったあとは、すっかり肩の荷を降ろしきったように身も心も軽くなり、翌日からは半年後あたりの次回を心待ちに仕事や暮らしに打ち込める。一つ難があるとすれば、旅から帰った数日は、大型観光ホテルロスに陥ることくらいだろうか。 この本では主に、東京から1泊2日圏内の温泉地の大型観光ホテルを案内している。主役は宿での時間に置きながら、周辺も楽しめるように、限られてはいるが立ち寄り処もいくつか記した。 多様化する旅の中で、大型観光ホテルへ泊まること、大勢で旅すること、ショーやお風呂など娯楽を味わうこと。何より自分らしい視点や価値観を持って、旅することの面白さが伝わればと思う。3