ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

kankohoteltabi

は じ め に 年に数回、友人たちと大型観光ホテルツアーを開催する。私はツアーコンダクターになり、1泊2日の計画を練る。だいたいいつも、〝どの場所か?よりも先に〝このホテル?というのが先にくる。ホテルが決まれば必然的に場所も定まり、1日目と2日目の昼食や、どんなところへ立ち寄るか、見当をつけてみなに知らせる。平均的には4?5人で、多いときは15人。ほとんどの大型観光ホテルには、ファミリープランや団体プラン、最近では女子会プランなるものがあり、貸切風呂や二次会会場やサービスドリンクや、何かしら特典が付いてくる。そういうものは存分に利用して、ちょっと得した気分をみなで分かち合う。部屋は4?5人だとひとつの部屋でぎゅぎゅっと肩を寄せ合い眠り、それ以上だと部屋をいくつか手配する。「家族以外とこんなふうに旅するのは修学旅行以来だ」という人が多く、それこそ私も大勢での旅を好ましく感じたきっかけの一つだった。 戦後の高度成長期、まだ日本人にとって海外旅行は高嶺の花。家族旅行も今のように年に数回、気軽になどというわけにいかず、旅といえば会社や地域や学校の団体旅行か、生涯一度の新婚旅行が主たるもの。観光地という概念も今よりずっともっと狭く、昔ながらの温泉地か、国立公園近辺などに集中して人が集まる。それに合わせて宴会場を備えた大型ホテルが次々とでき、お風呂や娯楽や建物で、ここならではという個性が築かれていった。 ところが次第に、日本人の旅が多様化し始めた。海外、一人、カップル、学生、高級志向や素泊まりや。そうして栄華を極めた大型ホテルの灯りが一つ二つ……消え始め、いくつかの観2