ブックタイトルginza_west

概要

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013 第一章 喫茶室の風景という。しかしメーカーはこの型を廃番にしてしまった。その後も使い続けるために、今ではわざわざ注文をして作ってもらっているそうだ。　わりあい小ぶりなコーヒーカップに注がれたコーヒーは、濃さもちょうどよくてすいすいと飲んでしまう。　卓上にはコーヒーと同じ色をしたプレートがあって、そこには〈珈琲・紅茶のお代わりはご遠慮なくお申し付け下さい。味加減がお好みに合わないときは淹れ直しいたします〉とある。その言葉に寄りかかるように、すいっと飲み干して、お代わりを注いでもらう。淹れ直してほしいと思ったことは、これまでない。　お冷やのコップもまろやかな輪郭をしていると気が付く。真ん中がふくらんだ卵の形、こちらにもウエストのマークが入っている。プリンや、夏のコーヒーゼリーやオレンジゼリーの器にも使われている。買って帰り、おいしく食べてきれいに洗って、家で使っている私だ。龍一さんによると、そういうお客さんは少なくないそうだ。ふちすれすれまで水を注いで容量が140ミリリットルと小ぶりで、意外と見つけにくいサイズのコップで、なかなか便利なのだ。