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概要

sakaba_okikunatta

171 今夜はこの人と…〈椎名 誠〉馴染みの街、新宿での再会。太田 椎名さんはやっぱりビール?椎名 うん、ビール。太田 なにかつまみますか。椎名 オレは人と話をするときはあんまり食べないんです。今日はビールだけでいい。太田 じゃあ今日は飲むほうで。生ビール二つお願いします。…『池林房』のあたりはいいですね。末廣亭はあるし、賑やかだけれど新宿の雑踏からは遠い。ここで飲むのが多いんですか?椎名 うん。仕事場も近いし、話をするときは、やっぱり『池林房』。今日も仕事終わらせてから歩いてきた。太田 ここと椎名さんとは長いおつき合いですよね。『本の雑誌』の沢野ひとしさんの広告で『池林房』のことを知ったという人も多いはず。椎名 店に通いはじめたのは『本の雑誌』が創刊してしばらくのころからだから。太田 創刊は一九七六年だったでしょうか。そのころは発行部数が五〇〇部ほどで、しばらく編集部員が車で配本してたとか。椎名 今から考えると、すごい時代。太田 編集部に出入りしてた若い学生たちに配本を手伝ってもらって、バイト代がわりにそのころ開店した『池林房』で腹いっぱい飲み食いさせてたんでしたよね。給料払うより余計にお金がかかりそう(笑)。椎名 ははは。太田 『池林房』は、オーナーの太田篤哉さんの人柄もいいし、若い者がてきぱき働くし、値段もそれほど高くない。なんといっても、朝まで飲めるというのがいい。ビールもうまいしね(笑)。新宿らしい、いい居酒屋です…。お、そんなこと言っていたら、ビールが来た。では、乾杯。椎名 乾杯。太田 (二人ゆっくりとビールを飲む)。うまい。