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概要

kyoto_artistar_blues

?? 蒔絵師が道具箱から何かを取り出すたびに、動物話に花が咲く。?ほな、これは何の毛でしょう?? 決して当たることのないクイズはいつまでも続く。 それら道具のほとんどが、数百年も前から使われていたというのも驚きだ。 ?野ネズミに辿り着くまでに、もちろんいろいろ試してみたんでしょう。たとえばサルとかヤギとか……。あぁ、ヤギの筆はここにありますけどな? そう言って、蒔絵師はおもむろに道具箱からヤギの筆を取り出す。 このとき、蒔絵、たまらんなぁ……とじんわりした。 動物由来の道具は筆や刷毛だけではない。空気中を舞うホコリは蒔絵師の大敵。いくら注意していても塗りたての漆にぴったりと付着してしまう。それをそっと取り除く作業を? 節ふし上あげ?というのだが、これにはツルかハクチョウの羽軸を使うという。?ハトじゃダメですか? スズメならどうなんでしょうか? ネズミのときと同じく不毛なやりとりを繰り返す。 どうして蒔絵師は手に入りにくいものばかり欲しがるのか。現在はツルもハクチョウも保護動物として羽軸の入手はほぼ不可能となっているのだ。?今まで試してみたことがない動物でも、意外としっくりくるかもしれませんよ?。あるとき、蒔絵師にそんなことを言ったことがある。?将来のことも考えて代用品はいつも探しているんやけどね。化学繊維なんかも含めて。でも、職人の道具は昔の人らがいろいろと試した末に辿り着いたものばかりやから。まぁまぁというのはあっても、完全に代わりになるものはないよ。絶対に?と先人たちの積み重ねに絶対の信頼を置いていた。 でも、木造船も土蔵も、野ネズミも今は見つけ出すことすら難しいじゃないか。あ中に付着したチリなどを払うためのものを「払い毛棒」と呼ぶ。コシがあり、毛足は長く、穂先はふんわりとしている毛が最適で、ムササビのほかにウマの毛なども使われる。暮らす│ 蒔絵師