ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

tsubo_kyoto

 狩野派巡りの中盤を飾るのは、大広間「四の間」の『松鷹図』(重文)だ。鋭い爪で力強く老松をつかむこの鷹、どこを見ているかはわからないがとにかく睨む、睨みつけている。この部屋が将軍上洛の折には武器庫として使われていたのも納得だ。 威圧感ばかりで狩野派も少し懲りたのか、この先の黒書院と白書院では花鳥をモチーフとした優麗な障壁画が多くなる。なかでも黒書院の襖に描かれた『牡丹図』は、同じ作者かと思うほどに繊細でやわらかなタッチ。細緻に描き込まれた花弁が狩野派のもうひとつの顔を教えてくれる。狩野探幽はこの二条城にすべての引き出しを全開にして臨んだのだ。狩野探幽江戸初期に活躍した幕府の御用絵師。名古屋城の障壁画なども手掛けた。狩野派は親方と弟子を含めた複数のチームで制作したとされている。『松鷹図』(右上)と『牡丹図』(下)を見比べると画風を自在に使い分けているのがわかる。写真提供/二条城枝ぶり11メートル!狩野一派の大傑作。43