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概要

kyoto_chuka

 ? 草そうぎ魚ょ?は、今から2年ほど前、家の近くの京都市中央図書館へ行った帰りにたまたま通りがかった中華料理屋さん。入口脇の巨大な魚と竹竿にしがみつくパンダのオブジェが目に留まり、まるで釣られた魚のように自転車をUターンさせた。 扉を押して鰻の寝床のような通路に入ると、奥から「おーきにー」の声。和装の髪型のようにふんわり髪をまとめた奥さんが出てこられて、なんだかいい予感がした。壁には図鑑を切り抜いた魚の絵。メニュー表を開けば、コースの名前が「竿」「浮」「針」。そして箸袋にも、やっぱり魚を釣るパンダ。厨房におられるご主人は相当、釣りが好きらしい。 この日は「五目やきめし」と「餃子」を頼んだ。空気を抱き込んだふわふわの五目やきめしも良かったが、餃子をひとつ食べた途端、「あっ」となった。この餃子。こんな餃子を探していた…! やわらかくて、ジューシーで、旨みもある「にんにくなし」の焼き餃子。餃子は大好き、しかしにんにくをがつんと利かせた餃子は苦手で、仕方なく「にんにくなし餃子」を手作りしていた身には、これぞ求めていた味。家の近所で理想の餃子に出合った興奮に、気持ちは?草魚?という大モノを釣り上げたパンダとなった。 その後も訪れるたび、この店の味が好きになる。胸肉を1枚まるごと揚げてぶつ切りにし、「やきぶた」の甘だれ、千切りキャベツと共にいただく「かしわのからあげ」。しょうが醤油で食べる肉厚の「むしどり」。鶏がらスープの塩だれあんにごま油を回しかけて香りを出した「天津飯」。手焼きの卵皮でたけのこ、えび、豚注文を受けてから水谷さんがひとつひとつ手包みして焼き上げる「餃子」。一人前7 個だが、みずみずしく軽いので、ぺろりと食べてしまう。たれに添えてあるのは、日本酒で練ったおろしにんにく。ひと晩たつと、なぜか緑色になるそうだ。好みで、少したれに混ぜて食べてもおいしい。写真は3 人前。