ブックタイトルSHIZEN_NO_KAKERA
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SHIZEN_NO_KAKERA
ハクサイ他 今日はいつもより沢山の荷物を持って出掛ける。出来る限りの春を見つけていけてやるんだと心に決めていた。 向かおうと思っているのは太陽の塔。でもその前に花を探して色々と寄り道。ウメやツバキは勿論もう満開だが、今日探しているのはもっと春めいた花々。地面の温もりを感じさせてくれる花を探していると、町中を流れる小川のき際わに市民農園を見つけた。フェンス越しに眺めると黄色い花々がぬくぬくと花を開いている。基本的に花が咲いてしまった葉物の野菜は食べられないことを知る僕は、野良仕事にいそしむおじさんに近づき世間話。十分後にはすっかり打ち解けて、両手一杯の様々な野菜の花を分けて頂いていたのだった。 春の恵みを腕に抱いて川沿いを行くと、そこにも急ぎ足だと見落としてしまいそうな小さな命が開き始めていた。ホトケノザの紫色に、オオイヌノフグリの空色の花。花が咲く地面を掌で触れると、じんわりと温もりが伝わってくる。 そこでも少し花を摘んで、全部を濡れ新聞で包んで目的の場所へ急ぐ。 春の幼い花の命は短いのだ。