ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

BOTANICA

「死人花に幽霊花、痺れ花に地獄花。あぁ、あたしのあだ名は恐ろしげなものばかり……。でもそれも身から出た なのね」 地面からひょろりと伸ばした茎先に、儚げな赤い花をつけるのはヒガンバナだ。その名の通り、秋の彼岸の頃に決まって咲き誇るこの花には、どういう訳か不吉な印象がつきまとう。それにしても痺れ花に地獄花とは、一体この花がなにをしたというのだろうか。「あたし毒があるんです。それも割かし強めの」 ――ほう。それで人が痺れたり地獄を味わったりするのか?「鱗茎、俗に言う球根を舐めると、ぴりりと痺れることはございます」 ――鱗茎に毒が。しかしそれならよくあることではないか。ぴりりとするぐらいで地獄とは大げさな。「あぁ、やはりごまかしてはだめ。勇気を出して言うのよ、あたし」(十)彼岸花?ヒガンバナ?Lycorisボタニカ問答帖 043しびとばなさびりんけいはかな