ブックタイトルBOTANICA
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BOTANICA
初夏から秋までの数ヶ月。日没後に大輪の花を咲かせるのはサボテンの一種、ゲッカビジンだ。白くふくよかなつぼみを宵闇の中でゆっくりほどくその様は、衣摺れの音さえ聞こえてきそうななまめかしさだ。「ずいぶんと凝視なさること」 ――はっ、すみません。つい見とれて。「うふ。お月様、きれいですわね」 ――ええ。白い花が月夜に映えます。「まぁ。この色は夜よく目立つように選んだんですのよ」 ――そうでしたか。匂いもかぐわしい。「お上手ね。暗いからこうでもしないと、花粉を運んでくださる送粉者が見つけてくれないと思って。わたしひと晩で閉じてしまうから、時間がなくって」(七)月下美人?ゲッカビジン?Epiphyllumボタニカ問答帖 031いいなずけ