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概要

rebooting

「論壇誌」「オピニオン誌」などと呼ばれるA5判の雑誌が次々と休刊していくなかで、いまも安定した部数を維持しているのが『』だ。日本雑誌協会のサイトで公表されている同誌の印刷証明付き発行部数は約60万部(2011年46月)。同ジンルのほかの雑誌を圧倒し、一人勝ち状態が続いている。『』は、「総合雑誌」とも呼ばれる。文芸から政治や社会問題まで、長い論文からコラムまで、硬軟おりまぜた「高級幕の内弁当」のような雑誌だからだ。『』は、1923年(大正12年)に作家の寛池菊が創刊した、薄ぺらい文壇ゴシプ雑誌としてスタトした。「私は頼まれて物を云うことに飽いた。自分で、考えていることを、読者や編集者に気兼ねなしに、自由な心持で云て見たい」という彼の「創刊の辞」はあまりにも有名だ。天下国家を論じる生真面目な言葉より「自由な心持」から発せられる人間くさい言葉を重んじる姿勢は、戦後に菊池寛の手を離れ、現在の会社のもとで再創刊された後も受けつがれている。 受けつがれているといえば、1935年に創設された芥川賞・直木賞も同様だ。 両賞は雑誌や本の売れない2月・8月の話題づくりのために創設されたともいわれ、芥川賞の受賞作品と選評が載る3月号(2月発売)と9月号(8月発売)は、通常号より部数を伸ばすことが多い。2009年の第142回(平成21年度下半期)芥川賞は、約10年ぶりに受賞作なしという残念な結果だたが、候補作だた舞城王太郎の『ビチマグネト』が2010年3月号に一挙掲載されている。『』は、論壇誌やオピニオン雑誌のなかでも部数が飛び抜けて多いが、文芸誌と比べると実売部数では百倍近い。0 7 4菊池寛(きくち・かん) 1888 ~ 1948年。大正から昭和にかけて小説家・劇作家として活躍する同時に、私財を投じて『文藝春秋』を創刊し、雑誌ジャーナリストとしても優れた仕事を残した。雑誌ジャーナリズムの一つの方法論として「座談会」を考案し、日本文藝家協会や芥川龍之介賞・直木三十五賞も創設するなど、現在まで続く文壇のしくみをつくり上げたことでも知られる。ゆるやかに世代交代が起きている雑誌界の幕の内弁当